
厚生労働省が、強度行動障害のある人を精神科病院の入院対象外とする方針を示しました。
この方針の背景には、患者が地域で生活できるよう支援する「地域移行」があります。
しかし、支援体制が整っていない状態では、行方不明者が増加するのではないかと懸念されています。
本記事では、この新方針を実施するうえでの課題や、家族・関係者が抱く不安の理由を詳しく解説します。
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厚生労働省は8日、精神科病院での入院について、強度行動障害の人など治療効果の見込めない人を将来的には対象外とする考えを「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」(座長=田辺国昭東京大大学院教授)に示した。
精神科病床が今後減ることを想定し、入院は急性期の患者か、急性期を越えても早期退院を目指す患者を中心とする。強度行動障害の人など慢性期に当たる患者の入院については「障害福祉や介護保険のサービスによって地域や施設の対応力を高めることにより適正化していく」とした。
引用元:「精神科の入院、強度行動障害は対象外 厚労省「訪問看護で対応」」(2025年9月15日)

この方針が実行されると、強度行動障害の行方不明者数が増える恐れがあります。
退院した患者のケアを、訪問介護で対応するとしているためです。
訪問介護では、強度行動障害を持つ方の突発的な行動に対処できません。
突発的な行動が原因で、行方不明になった事例も多々存在します。
過去には、強度行動障害を持つ男性が行方不明になり、遺体で発見された事件も発生しています。
家族や医療福祉関係者が24時間サポートしている環境下でも、行方不明になる可能性が高いのが現実です。
訪問介護のみで強度行動障害の方の失踪を防げるのか、大きな疑問が残ります。

この方針には、強度行動障害を持つ家族や、支援にあたる医療・福祉関係者から心配の声が上がっています。
この章では、その代表的な意見を2つピックアップして紹介します。
最大の懸念は、退院後の支援体制が整備されていない点です。
強度行動障害の方は、興味の赴くままに突発的に行動したり、特有のこだわりがあったりする場合があります。
そのため、専門知識を持つ人物が、退院後もそばで生活をサポートし続ける必要があります。
しかし、強度行動障害の方をケアできる人材や、受け入れられる施設の数は限られているのが現状です。
家族がサポートする選択肢もありますが、精神的な負担がかかるうえ、家族が高齢になった際は支援が難しい現実もあります。
強度行動障害の方が退院したあとの受け入れ先・支援体制については、まだまだ議論する必要があります。
強度行動障害の方には、医療的なサポートが必要な場合もあります。
詳細は下記のとおりです。
| 医療的なサポートが必要な理由 | 具体例 |
| 本人の行動によって怪我をする場合があるため |
|
| 本人が身体の不調を言葉で訴えられないため |
|
| 強度行動障害とは別の症状を併発している場合があるため |
|
これらの問題に対処するには、医療的なサポートが不可欠です。
福祉施設や家族が受け入れることになった場合、受け入れる施設・家族の負担も大きくなる懸念があります。
退院後の受け入れ先の確保に加えて、十分な医療ケアを受けられる環境が整備できていないことも、課題と言えるでしょう。

地域移行支援とは、患者が施設や病院から出て、地域で生活する準備をサポートする福祉サービスです。
地域で暮らすことで、自己選択の機会が増えるため、本人の意思が尊重された生活を送れます。
近年は国の方針で、強度行動障害の方の地域移行支援も進められるようになりました。
強度行動障害の方の地域移行支援は、難易度が高いものです。
専門的な人材や受け入れ先の不足に加えて、関係機関同士の連携の問題も存在します。
とくに、受け入れ先の不足は深刻な問題です。
グループホームを建設しようとしても、近隣住民からの理解が得られず、計画が進まないケースが多々あります。
地域移行支援を進めるには、支援体制の整備はもちろん、地域社会の理解を得ることも重要です。

国が掲げる「地域移行」という理念は、本人の意思を尊重するうえで重要です。
しかし、探偵として行方不明者捜索に携わった立場から見ると、現状には行方不明のリスクが潜んでいると言わざるを得ません。
最大の問題は、理念と現実の乖離です。
強度行動障害のある方を支える専門人材や施設は、圧倒的に不足しています。
24時間体制のサポート下ですら行方不明になる可能性があるのが実情のため、訪問介護で万全なケアを行うのは難しいでしょう。
また当社では、行方不明者の捜索も請け負っています。
強度行動障害の方の捜索を行った経験もございますので、お悩みの際はご相談ください。
※docomo・au・softbankなどの携帯電話アドレスはドメイン指定設定により毎月10件以上の「送信エラー」が起こっているため、 フリーメール(GmailやYahoo!mail)の利用をおすすめします。しばらく経っても返信が来ない方はお電話にてご確認くださいませ。

執筆者 / 吉田
人探し調査員歴8年。自身の関係者が失踪した辛い経験を持つ。 独学で多くの捜索方法とカウンセリングを学び実践。 豊富な実践経験から探偵の門を叩き、捜索、カウンセリングのプロとして活躍中。 監修者・執筆者一覧へ
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